ナンパの軌跡6
その何かが分からない日々が続いた。
なるべき人物像は具体的に分かっていた。
そしてなりきってるつもりだった。
卑屈の卑の文字もなく本当に自信があった。
どんな罵声を浴びせられても動じなかったし彼氏が出てきても平気な顔して逃げた。
でも抱けない日々が続く。
(実は、最後の最後まで無理だったんだが)
なぜだなぜだなぜだ。
気付いたら「なぜだ」を呪文のように繰り返していた。
自信も喪失していく。
声をかけるのが億劫になっていく。
どうしても失敗するイメージが脳内に再生されるのだ。
素行も悪くなり直属の上司にも叱られる、後輩からは舐められる、同僚にも差をつけられる。
もうメンタルもいっぱいいっぱいだった。
辞め時だった。